DoceboとAbsorb LMSは、どちらもインターネット経由で使うクラウド型のLMS(学習管理システム。研修の配信と受講記録の管理をまとめて行う仕組み)です。社員だけでなく、顧客やパートナーといった社外の受講者も対象にできる点も共通しています。
では、どこで選び分けるのか。違いが出やすいのは、受講者をどんな単位で分けるか、誰にどこまで管理を任せるか、そして研修への登録をどう動かすか、の3点です。
組織の階層に合わせて管理範囲を細かく分け、社員研修と社外向け教育を一つの基盤で組み立てたいならDoceboが候補です。受講者をDepartment(部署にあたる区分)で整理し、自動登録を使って研修運用を回したいならAbsorb LMSが候補になります。
Docebo
こんな人に
branchやgroupごとに管理権限と学習経路を分けたい
Absorb LMS
こんな人に
Departmentを軸に受講者を分け、自動登録を活用したい
両製品とも、オンライン研修、講師主導の研修、修了証、レポートに対応しています。そのため、機能があるかないかだけを並べても差は見えにくくなります。見るべきなのは、自社の組織構造をLMS上でどう表現できるかです。
| 比較項目 | Docebo | Absorb LMS |
|---|---|---|
| 主な受講対象 | 社員、顧客、パートナーなど | 社員、顧客、会員、パートナーなど |
| 受講者の整理 | branchとgroup | Department、Group、カスタム項目 |
| 管理の分担 | 対象範囲を限定した管理権限を割り当て可能 | Departmentなどを使って受講者と表示を分離 |
| 研修への登録 | 個人、group、branch単位で登録 | 本人、管理者、自動ルールなどで登録 |
| 学習経路 | Learning Planにオンライン研修と講師主導研修をまとめる | Curriculumにオンライン研修と講師主導研修をまとめる |
| 社外向けの分離 | Extended Enterpriseで外部向けドメインを分離 | DepartmentやGroupごとに独立したポータルを構成 |
Doceboは、受講者をbranchとgroupという2つの単位で整理します。branchは組織の階層に沿った区分、groupは条件でまとめた集まりだと考えると分かりやすいでしょう。
そのうえで、Power Userと呼ばれる管理担当者に、扱える受講者や研修を限定した権限を割り当てられます。たとえば、本社の研修担当者が全体を見ながら、地域や事業部の担当者には自分の範囲だけを任せる、といった分担です。コースやLearning Planは個人、group、branchのそれぞれに割り当てられるため、組織の区分と研修の配信先を結び付けやすい設計になっています。
Learning Planは、オンライン研修と講師主導研修を順序立ててまとめた学習経路です。必須研修を段階的に受けてもらいたいときや、役割ごとに違う研修の道筋を用意したいときに使えます。
顧客やパートナー向けの教育環境を分けたい場合は、追加機能のExtended Enterpriseで外部向けのドメインを分離できます。社員研修と社外向け教育を一つの基盤に置いたまま、入口だけを分けたい組織なら確認しておきたい機能です。
Absorb LMSでは、Departmentが受講者を分ける中心的な単位になります。これにGroupやカスタム項目(自社で定義する属性欄)を組み合わせられるので、部署だけでなく、雇用区分や受講対象などに応じた整理もできます。
登録方法は、本人による登録、管理者による登録、自動ルールによる登録の3通りです。たとえば、特定のDepartmentに加わった人を対象研修へ自動で登録する、という運用が組み立てられます。人の追加や所属変更に合わせて研修を割り当てたい組織にとっては、ここが判断材料になります。
Curriculumは、複数のオンライン研修と講師主導研修をまとめる仕組みで、前提条件や修了条件も設定できます。ただし注意点があります。Curriculumに登録しただけでは、その中のコースへ自動で登録されるわけではなく、登録後の設定が別に必要です。導入時には、受講者を追加したあとどこまで自動で登録したいのかを整理しておくとよいでしょう。
社外向けには、DepartmentやGroupを使って対象ごとにポータルを分けられます。ブランド表示もDepartment単位まで分けられるため、顧客やパートナーごとに見せ方を変えたい場合の候補になります。
Doceboは、オンライン研修と、対面・オンラインの講師主導研修を組み合わせられます。コースやLearning Planを修了すると修了証を発行でき、期限が来たら更新が必要な認定研修も設定できます。
Absorb LMSも、オンライン研修、講師主導研修、Curriculumを扱えます。修了証の発行に加え、再受講や再認定の際には、以前の受講記録を残したまま新しい受講を始められます。
つまり、配信方式や修了管理といった一般的な部分では決め手になりにくい、ということです。実際の選定では、Doceboのbranchと範囲を限定した管理権限、Absorb LMSのDepartmentと自動登録、このどちらが今の運用に近いかを先に見ると比較しやすくなります。
DoceboとAbsorb LMSは、どちらも公開されている金額がなく、個別見積もりです。比べられるのは金額そのものではなく、見積もりが何を単位にしているかです。
Doceboは、実際に利用する受講者を基準にします。月間、年間、登録済みのアクティブユーザーという利用モデルがあり、契約に応じて選ぶ形です。契約区分はElevateとEnterpriseの2つで、追加機能や導入支援の範囲も費用に関係します。公式案内では、通常250人以上を研修する組織が主な対象とされています。
Absorb LMSは、見積もりフォームで受講者数の帯と国を選ぶ方式です。受講者数は1〜50から25,000超までの区分があります。日本を選んで見積もりを依頼でき、無料体験の入口もありますが、その期間や利用上限は公開ページでは示されていません。
注意
料金情報は2026年7月26日時点です。Doceboはグローバル向け参照情報で、日本専用の公開料金は確認されていません。Absorb LMSは日本から見積もりを依頼できますが、日本専用の公開金額や契約条件は示されていません。契約期間、追加機能、導入支援を含む条件を見積もり時に確認してください。
Doceboが向いているのは、branchとgroupで受講者を管理し、範囲を限定した管理権限とLearning Planを組み合わせたい組織です。外部受講者向けのドメイン分離まで含めて、複数の教育対象を一つの基盤で管理したい場合にも候補になります。
Absorb LMSが向いているのは、Departmentを中心に受講者を整理し、本人・管理者・自動ルールの登録を使い分けたい組織です。顧客やパートナーごとにポータルとブランド表示を分けたい場合にも検討できます。
選ぶときは、機能数を数えるより先に、自社の組織単位、管理を任せる範囲、研修登録の流れを書き出してみてください。その形をbranchと管理権限で表現しやすいならDocebo、Departmentと自動登録で表現しやすいならAbsorb LMSが有力です。
Q.顧客やパートナー向けの教育にも使える?
A.どちらも社員に加えて、顧客やパートナーなどの社外受講者を扱えます。比較点になるのは分け方で、DoceboはExtended Enterpriseによる外部向けドメインの分離、Absorb LMSはDepartmentやGroupごとのポータル分離という違いがあります。
Q.公開料金だけで安い方を決められる?
A.決められません。どちらも公開金額がなく、個別見積もりだからです。Doceboはアクティブユーザーの利用モデル、Absorb LMSは受講者数の帯が見積もりの主な基準になるため、自社の受講者数と利用頻度を同じ条件で伝えたうえで比較してください。
Q.Curriculumに受講者を登録すれば、中のコースも自動で受講開始になる?
A.なりません。Absorb LMSのCurriculumは複数の研修をまとめる仕組みですが、Curriculumへの登録だけで内部のコースへ自動登録されるわけではなく、登録後の設定が必要です。
確認日: 2026-07-26(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
Docebo
Absorb LMS